現代の若い女性は、驚くほど婦人科系の疾患を抱えています。その中でも多いのが「子宮筋腫」。したがって、妊活をされている人の中でも、子宮筋腫がある人はとても多いのです。
せっかく妊娠しても、それを阻害することも考えられるし、子宮の環境だって決して良くなるものではなく、ましてや筋腫自体が不妊の原因になる事もありえます。
では子宮筋腫ってどのようなものなのでしょう。
筋腫の種類には次のようなものがあります。
①筋層内筋腫
子宮壁を構成する平滑筋に出来る筋腫で、子宮筋腫の中でも大きな割合を占めます。
小さいものならほとんど症状は出ないものの、大きくなると経血量が増えたり、不妊の原因にもなります。
②しょうまく下筋腫
子宮壁の最も外側に出来て、外に向かって大きくなるので、子宮から突出してしまう事もあります。過多月経や反対に貧血などの諸症状が出にくいので気付きにくいのですが、筋腫が育ちますと、直腸や膀胱などを圧迫し、便秘や頻尿をおこすこともあります。
③粘膜下筋腫
子宮の内側に向かって出来る筋腫です。
子宮内膜に筋腫の栄養血管が露出し、月経時に多量の出血があります。また過多月経になるため、貧血が酷くなります。
受精卵が着床しにくくなり、不妊の原因ともなります。
④頸部筋腫
子宮の膣側に出来る筋腫で、大きくなると過多月経になり貧血症状が強くなります。
大きく分類しますとこのようになりますが、月経のある女性の4人にひとりが、子宮筋腫を持っているといわれています。
筋腫は女性ホルモンの影響を受けて育ちます。閉経になれば栄養が行き届かず多くが委縮していくのであまり心配がないと言われていますが、妊娠を望んでいる皆さんがそのまま放置することは、不妊への負荷を強めることでもあるのです。
不妊治療では、卵を育てるために色々なホルモン剤を使います。これが筋腫を育てる直接的な関わりになっている、というデータは今のところありませんが、私の知る限り、ホルモン治療を受けている方は、筋腫の成長スピードも驚くほど速いと感じています。
様子を見ましょって言われてから、一年が過ぎたのですが、最近生理痛が酷くなってきたので、再検査をしたら10センチ以上に大きくなっていたんです。それで急遽違う病院でオペをしました。
お腹を切ったので、それがきちんと回復するのには半年かかるそうです。
もうすぐ40歳になるのに、どんどん妊娠が遠ざかって行きます。
つい最近もそのような報告を受けました。
この女性の場合、筋腫が大きくなりすぎていた為、内視鏡を使ったオペは出来ずに開腹手術になったそうです。
このようなお話を伺って、私にはもうひとつの心配が増えました。
それは、「クリニックで不妊治療を受けているから大丈夫」と、カラダからの声が聞こえなくなってしまっている人の多さです。
ウミヨガの生徒さんの中で、「子宮筋腫の手術をしました」という報告のあった人は、約一割に及びます。そしてその全員が、今まで通われていたクリニックとは別の病院でのオペになっているという事実があります。
これが何を指しているのかと言いますと、不妊治療を掲げているクリニックは、妊娠に特化した技術を持っているところであって、母体の病や、それらに関する治療・手術には、力にはなり得ていないという現実です。
この現実を受け止めていただき、たとえ不妊治療中であったとしても、必要に応じて信頼の出来る産婦人科病院での検診や検査を受ける大切さを知っておいて頂きたいのです。
どこかで病院の特性や機能がごちゃ混ぜになり、妊娠に一番大切な母体の健康をないがしろにしたまま、不妊治療に明け暮れている人が余りにも多いのは、道筋を逸脱していると思うのです。